プチフランスを焼く休日の朝

材料も作り方も、いたってシンプル。
準強力粉:300g
塩:6g
ドライイースト:1g
モルトパウダー:0.5g
水:210g
混ぜて20分休ませ、折りたたんでまた20分。
この「待ち時間」が、今はいちばん楽しい。

コーヒーを淹れたり、アイロンをかけたり。
次の20分では野菜を洗い、その次は少し休憩しよう。

残りの粉をすべて出してしまい、少しやりすぎたと笑う。
パン作りに慣れていなかった頃は、作業の合間もずっとレシピをにらめっこ。
次の手順を何度も頭の中で繰り返していました。
うまくいかないと、すぐに作り直していた昔の私。
今は、クープの位置を間違えても笑っていられます。
何度も作り続けてきた過去の私が、
「適当にパンが焼ける今の私」を育ててくれたのだと思えました。

人は、自分の夢がもう叶っていることに、気づかないことがあります。
「パンを焼ける暮らしをしたい」と願っていた昔の私。
あの頃は、本当によく練習をしていました。

パンが焼ける暮らしをしている人は、
「パンが焼ける暮らしをしたい」と思わない。
夢が叶うとは、きっとそういう感覚のこと。
☕️ きょうの余白
焼きたてのフランスパンから、パチパチと天使の拍手が聞こえました。
小麦の香ばしい匂いが、部屋をゆっくりと温めていきます。
すべてが、やわらかな時間の中に溶けていくようでした。



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