ホームベーカリーのタイマーの音が6時半に鳴りました。
まだ寒いはずの部屋が、ほんのり温かく感じます。
全粒粉の香ばしい香りが、静かなキッチンをいつもと違う空気にしてくれました。
「こんな朝があるなんて」
その小さな驚きに、心がじんわりほどけていきました。
■ 厚切りトーストのために、平日の夜にパンを仕込む

栗原はるみさんの本『わたしの味』には、「私の厚切りトースト」という魅力的なレシピがあります。
普段は控えているバターも、厚切りのパンも、はちみつも……
そのページを読むだけで、「今回は作ってみよう」と思えたのです。
どうしても朝ごはんはトーストにしたくて、私はホームベーカリーでパンを焼くことにしました。
強力粉が100gしかなかったので、残りは全粒粉を使うことにします。
「これでうまく焼けるかな?」
ホームベーカリーのタイマー機能を初めて使うので、こんな小さな挑戦もわくわくとした気持ちに私をさせました。
翌朝、焼き上がりの音が“ピィ…”と鳴り、
私はミトンをはめてパンを取り出します。
少し冷まして生地が落ちついたころ、栗原はるみさんのお気に入りだという2cmの厚さにパンをスライスしました。
■ #4 私の厚切りトースト

2cmの厚さは絶対のようでしたので、そこは慎重にCUTしました。
次に表面のCUTです。
レシピは「横に3本」とありましたが、間違えて「縦に3本」切れ目を入れてしまいました。
これはもう、気にしないことにします。
予熱したトースターへ入れると、もともとブラウン生地の全粒粉食パンの表面に色がつき始めました。
2度目のパンの香りがまた豊かに広がりました。
焼いているその時間さえ、愛おしい。
栗原さんのレシピは、エッセイも素敵で、料理だけではなく、彼女の暮らしの風景そのものなのだと思いながらトーストを焼く満たされたときを私は過ごしていました。
■ #5 レンジミルクティー

カップにティーバッグを入れて熱湯を注ぎ、冷たい牛乳を加えて電子レンジで1分20秒。
それだけで、茶葉がふわりと香る優しいミルクティーが完成しました。
普段はコーヒー派の私ですが、このおいしさに魅了され、こちらも定番になりました。
■ #6 ハチミツバター

びんに残ったはちみつに、同量のバターを加えてしっかり混ぜるだけ。
レシピ本に書かれていたこのアイデアもお気に入りに追加です。

レシピのようにハチミツバターを塗りました
(レシピの画像はマーマレードバターでしたけど)
あつあつのトースト。熱でバターが一瞬で溶けていきます。
一口食べると、さくりと小気味の良い音がしました。
ほぅ……
今回も声が漏れてしまうほどのおいしさです。
■ “迷える幸せ”の中で
映画「ジュリー&ジュリア」を観たあと、私の小さな挑戦のために1冊のレシピ本を注文しました。 届くまでの間、私は「わたしの味」を手に取り、なるべく忠実にレシピを作っていました。
ですが、「わたしの味」のレシピの世界は想像以上に魅力的で、作ってみたいレシピもまだまだあり、20年前の本が私の今の暮らしに染み込んできている気がします。
今日、ついに注文した本が手に入りました。
でも、私は知ってしまったのです。
「わたしの味」の世界に夢中になれる時間の愛おしさを。
レシピの真似をするだけでなく、料理の楽しみ方をそっと教えてくれるような一冊なのです。
私は贅沢な迷いの中にいます。
こんな幸せな悩みはなんて心地よいのでしょう。
パンを焼くことも、ミルクティーを淹れることも、厚切りトーストを頬張ることも。
その全部が、今日の私をやさしく支えてくれている気がします。
届いたレシピ本は、少しきちんとした空気をまとっています。
これから私は——どんなふうに進めていこうか、静かな楽しみの中で考えているところです。
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