珈琲とトーストで、簡単に済まそうと思っていた朝。
体調が回復すると、やりたいことが少しずつ戻ってくる。
珈琲の準備を始めると、昨日買ったばかりの新しい豆だったことを思い出して、丁寧に淹れたくなった。
湯を沸かしている間にトーストするつもりが、ハンドドリップだと少し時間がかかる。
その間に大皿を取り出して、半熟卵やサラダを並べる。作り置きがあったので、ただ置くだけ。
厚切りトーストにはバターを塗り、チーズをピーラーで削ってトースターへ入れた。
チーズがぐつぐつしたところで取り出し、はちみつとブラックペッパーをかけると、焼けたパンの香りがする。
時間を節約するつもりだったのに、気づけば、ゆっくりとした朝を過ごしている。
新しい珈琲豆は、一口飲んだだけで、
いくつかの優しい記憶と一緒に味わうことになった。
そんなつもりはなかったのに。
先日、丁寧に淹れてもらった珈琲がとても美味しくて、メーカーを聞くとKEY COFFEEだった。
すぐに手に入るものでも、こんなに美味しくなるのだと少し驚いた。
真似をして買ってみて、今朝の一口がある。
まだ、私は上手ではないけれど。
半熟卵や、甘じょっぱいトーストを
誰にも気兼ねせずに、ただ味わう。
こんな時間に、節約なんて言葉は似合わない。
そう思った。
先日、蕎麦屋で買った小豆茶を煮出しておいたものも、
食事の途中で、いっぷくする気持ちでいただく。
片付けを終え、玄関を水拭きする。
廊下もモップで拭くと、空気が整う気がした。
布団を洗い、干す。
スーツにアイロンをかける。
トレーニングをする。
長い間、心地よさを節約して、焦っていた日々を、少しずつ忘れかけている。
忙しさの中で「早く」「効率よく」と過ごしていた頃は、こういう時間の価値に気づけなかった。
体調を崩したことがきっかけだけど、自分にとっての心地よさを選ぶようになった気がしている。


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