私が初めて「上手にできた」と心から思えたケーキは、
栗原はるみさんのプレーンシフォンケーキでした。
雑誌の1ページに載っていたそのレシピ。
当時のケーキといえば、デコレーションケーキが主流だった頃に、
材料は驚くほどシンプルで、工程も難しそうには見えませんでした。
ステンレスの型を使って焼いてみると、
ふわんふわんで、背が高く、口に入れるとすっと溶けるような
シフォンケーキが焼き上がりました。
当時、お店でもこんなケーキはほとんど見かけなかったように思います。
私はその雑誌のページをコピーして、
何度も、何度も、そのケーキを焼きました。
それが、栗原はるみさんのレシピとの最初の出会いでした。
卵黄と卵白の数は同じ。
材料の温度についても、細かな注意書きはありません。
肩肘張らず、日常の延長で作れる配合です。
改めて、家庭で作りやすいレシピだと感じます。
「わたしの味」p112 に載っているプレーンシフォンケーキは、20cmサイズ。
まずは型の調達。
100円ショップのお菓子材料売り場を歩きながら、
「こんなものまで100円なのか」と、驚きつつシフォンケーキの型を探します。
希望のサイズは見つからなかったので
18cmと15cmの紙のシフォン型を手に取って家に帰りました。
材料と道具を揃えること。
それも、お菓子作りの楽しみのひとつです。

卵黄の生地と、卵白のメレンゲをそれぞれ作り、
手際よく合わせていきます。
メレンゲを泡立てていると、
いつも月の美しさを思い出します。
きめが整っていく様子の美しさに今回も心奪われつつ。
夜のキッチンには、カステラのような、やさしい香りが広がっていました。

数年ぶりのシフォンケーキ作り。
それでも、久しぶりにしては上出来。
十分に冷ましたあと、紙の型なので、するりと簡単に取り出すことができました。

型のサイズ調整に気を取られていたせいか、
生地への気遣いが少し足りなかったかもしれないと、
焼き上がりを見て、反省もありました。
2つ並んだシフォンケーキを見たとき、
私は、お菓子作りの楽しさを思い出している自分に気づきました。

朝ごはんのあと、
デザートに、ひときれ。
レシピに載っているレンジカスタードも、
驚くほど簡単に出来上がります。
ふんわりしたシフォンケーキに、
とろりとかけたカスタード。
20代後半で、初めて上手にシフォンケーキが焼けた日の気持ちに、
私は、いつの間にかなっていました。
栗原はるみさんのレシピ
・プレーンシフォンケーキ
・レンジカスタード



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