「わたしの味」
私の厚切りトーストと、マーマレードバター。
長崎の研修から戻った夜、
心の中には、たくさんの風景と時間が残っていました。
軍艦島クルーズ。
ブラックダイヤモンドに乗り、長崎港を離れる時間。
軍艦島クルーズは、3回に1回は上陸できないと聞きました。
この日は雨。2階席は使えず、船内は満席。
それでも、軍艦島の歴史を知り、途中で立ち寄った高島石炭資料館で、
模型を見ながら地形を覚えるほど、気持ちは引き寄せられていきました。
当時の軍艦島は、かなり近代的な街。
家電製品や流行の道具も早くから使われていたと知り、
その中に「パン焼き器」を見つけたとき、私の心は決まりました。
数日後の夜。
私は50年後のパン焼き器、ホームベーカリーに材料を入れ、
朝に焼き上がるようセットしました。
ケースから取り出した焼きたての食パン。
部屋の空気が、いつもより少し温かい気がします。
さて、朝。
マーマレードと食パンの準備が整いました。
前回は切れ目を縦に入れていましたが、
今回は横に3本。
予熱したトースターで、こんがりと。
マーマレードと合わせるのは、
今回はバターではなく、ココナッツオイル。
レンジ豆乳ミルクティは、もうすっかり慣れたもの。
そして今日は、
パンとミルクティだけでは少し足りない気がして、
チェダーチーズのオムレツも添えました。
がりり。
よく焼けたトーストの耳が、香ばしい音を立てました。
じゅっと染み込んだココナッツオイルとマーマレード。
あぁ、本当においしい。
栗原はるみさんの20年前のレシピを、今日も作りながら思います。
時代も、自分も、変わっていく。
でも、
「味わう時間」だけは、ちゃんとここに残っている。
この「わたしの味」を、
これから私は、どんなふうに育てていくのでしょう。
なんだか、楽しみがひとつ増えた朝でした。




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